もっと知りたい、NDISのこと

NDIS とは、永続的で重大な障がいを持ったオーストラリア人を支援する全国障がい保険計画(The National Disability Insurance Scheme)の頭文字をとった略称です。 2016年の開始以来、NDIS はおよそ15万人もの人々を手助けしてきました。 しかし、文化や言葉の面で多様なオーストラリア社会では、情報不足のためにこの制度を利用できていない人もいるようです。

Businesswoman with disability

Smiling disabled woman working in office Source: Digital Vision

NDIS は、オーストラリア政府による障がい者支援の形を大きく変えるものでした。

 

NDIS のマット・ライトさんはこう話します。

 

「NDIS は、重大で長期に及ぶ障がいを持った方々を支援する新しい方策です。障がいをもった方も他の一般市民と同じようにごく普通の生活をし、社会の一員としての暮らしを送ってもらうことがこの計画の狙いなんです」


 

NDISの申請資格を得るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

 

「まず65歳以下であり、重大で永続的な障がいをもったオーストラリア国民、もしくは永住権保持者でなければいけません。ですから例えば、難民ビザサブクラス200の場合は永住ビザとみなされます。また、その人の障がいについては、永続的なもの、またはずっと残ると見なされるものである必要があります」


 

ご自分が条件に当てはまると思われる場合は、NDIS のウェブサイト、 www.ndis.gov.au または 電話 1800 800 110 から申し込むことができます。

 

「まず、支援が得られるか確かめるために、申請段階から始めます。申請資格があると見なされれば、計画参加者として、NDIS プランを作る立てるプロセスが始まります。必要なサポートが得られるよう、私どもがこの手続きの間ずっとお手伝いをさせていただきます。そして、NDIS プランが承認されれば、参加者の方にはサービスプロバイダーや必要な器具などを、選択肢の中から選んでいただくことになります」

 

Man Jogging
Source: Getty Images


 

Settlement Services International は、新しくオーストラリアに移住してきた人々を支援するコミュニティー団体です。この団体では、FutureAbility と呼ばれるプログラムを通じ、あらゆる文化的背景を持つ団体やコミュニティーグループに対し、NDIS に関する支援を提供しています。

 

FutureAbility プログラムのマネージャー、ジョージア・ゾガリスさんによると、障がい者年金を受給している人の多くは、NDIS を始めてしまうと年金が受けられなくなると思い込んでいるということです。

 

しかし、それは全くの誤解です。

 

「他言語・多文化コミュニティーが知っておくべきことは、各自のニーズを満たすと承認されたプログラムやそれに付随するお金は、障がい者年金に追加されるものだということです。ですから、もうすでに障がい者年金を受けていても、NDIS のために受給が止められることはなく、両方がもらえます。年金は毎日の生活のためのもの、NDIS プログラムは各自の障がいに必要とされる分野を支援するためのもの、ということです」

 

ただでさえ複雑な NDIS は、特に英語を母国語としない人にはなおさら分かりづらいはず。NDIS ではいくつかの言語に翻訳されたリソースも用意しています。

 

無料で、通訳サービスを受けることも可能だと、ゾガリスさんは話しています。

 

「全国障がい保険計画では、英語をうまく話せない方向けに、翻訳・通訳サービスが準備されています。必要な方は、TIS (電話:13 14 50)に電話して、NDIS に関しどの言語で手助けが必要か申し出てください。その後、NDIS から連絡が行き、ひとつひとつ必要案件を満たしていきます」

 

キャシー・ナインさんは、知的障がいに加え、プラダー・ウィリー症候群という珍しい遺伝性疾患を抱える20歳の娘さん、ローラさんの介護をしています。

 

キャシーさんは、ローラさんの NDIS プランに満足していますが、英語に苦労したため、当初はかなり大変だったと話します。

 

 「2年ほどは、言葉の壁があって、どんな質問をして、どんな支援を求めればいいのか、自信がなかなか持てなかったんです。英語を母語としないコミュニティーの多くは、そのせいで弱い立場に置かれてしまいます。世話をしている家族のためにきちんとした決断を下そうにも、アドバイスを求めたり、きちんと質問したり、何かを主張したりできないので、それはそれは乗り越えるのが大変な壁なんです」

 

しかしそれも、この2年でずっと向上しました。

 

自分の経験を共有することができるよう、同じような境遇にある人が集まるコミュニティー内の支援団体に参加することを、ナインさんは勧めています。

 

ナインさんはまた、NDIS のプログラムを策定する場合は、すべて理解できるようになるまで質問し続けることが大切だ、と話します。

 

 「NDIS の開始段階では、忍耐も必要ですし、びくびくしないで、プランを自分で運用していくっていうリスクを負わなきゃいけない、ということです。どんどん質問して、自分の言葉で噛み砕くんです。面談している相手の前でもリラックスして。ちゃんと聞くべき質問をしてるのか、自分で確かめてください。正しい質問をする権利は、みんな持っているんですから」


 

NDIS の受給資格を持つ人のおよそ20パーセントは、多文化・多言語の背景を持つ人ですが、データによると、実際にNDIS プランを持っているのはそのうちの7.2%に過ぎません。

 

NEDA (National Ethnic Disability Alliance) は、文化や言語で多様な背景を持つ障がい者の権利を擁護する団体です。CEO のドウェイン・クランフィールドさんは、NDIS の普及を進めるために、協働しています。

 

「NDIS の受給資格はあるのに、その存在を知らないから、疑っているから、または申請の手助けが得られないからといった理由で、現在全く受給していない人が相当数いらっしゃると思われます。実際、中には非常にややこしいプロセスもありますし、英語が第二言語でうまく使いこなせず、手続きの手助けをしてくれるしっかりしたサポートがない場合は、始めるのがとても難しいでしょうね。現在私たちが取り組んでいるのは正にこの問題なんです」


 

NDIS のマット・ライトさんも、多言語・多文化的背景を持つ人々が、NDIS にもっと参加してほしいと願っています。

 

「我々のサービスが各文化に配慮し、多文化・多言語的背景を持つ人々のニーズを理解したものであるように、コミュニティーを代表する各団体と協力しています。なるべく多くの言語で、またどんな背景を持つ人にとってもできるだけアクセスしやすくなるような形で情報を提供していきたいと思っています」


 

NDIS がサービスをもっとシンプルで理解しやすいものにしていくのはもちろんですが、もっとみんながこのサービスのことを広めていくべきだと、ドウェイン・クランフィールドさんは話します。

 

「私たちももっと、コミュニティーの人に広めていかなくちゃいけないし、コミュニティーのリーダーたちに働きかけていかなきゃいけません。自分たちから進んで要求していくべきなんです。自分たちだけで孤立していては何もできません。各コミュニティーもリーダーたちも、サービスの利用と情報について、どんどん働きかけていく必要があります」

 

NDIS に関する情報は、ウェブサイト www.ndis.gov.au または電話 1800 800 110 からお問い合わせください。


通訳が必要な場合はまず、TIS (電話:13 14 50)に電話してください。

Living with a disability
Source: Getty Images

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Published

Updated

By Audrey Bourget
Presented by Shingo Usami

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